【コラム】耐火被覆の「厚み」とは?建築基準法・部材・材料の視点で解説
火災が起きたとき、鉄骨は約600℃で急激に強度を失います。そしてわずかな耐火性能の不足が「建物倒壊」という重大リスクにつながります。
耐火性能の基準となる「耐火被覆の厚み」の重要性を把握していないと、施工不良や法令違反に気づけない可能性も。この記事では、建物の安全性を左右する「耐火被覆の役割」と「耐火被覆の厚みの重要性」を分かりやすく解説します。
本記事を読めば、耐火被覆の基本と正しい厚みの考え方が分かり、建物の安全を確保するために必要なポイントがつかめます。
耐火被覆材の厚み=盛り具合
耐火被覆の「厚み」とは、鉄骨などの構造部材を覆う耐火材の施工厚さ(mm)のことを指します。つまり、柱や梁のまわりに吹き付ける、貼り付ける、巻き付ける耐火材が「何ミリあるか」という物理的な寸法のことです。
この耐火被覆の厚みは単なる材料の分量ではありません。火災時に構造体の温度上昇をどれだけ遅らせられるか=耐火時間を左右する重要な性能値です。施工厚さが厚いほど、より長い時間火災に耐えることができます。
「1時間耐火」「2時間耐火」「3時間耐火」といった耐火性能は、建物の用途・階数・構造種別によって定められますが、その性能を実現するために必要なのが、適切な耐火被覆の厚さです。言い換えると、
耐火時間 = 求められる安全性能
耐火被覆の厚み = その性能を実現するための具体的な数値
という関係にあります。
厚みが数ミリ不足するだけでも、本来確保すべき耐火時間を満たせない可能性があります。
そのため、耐火被覆の厚みは「見た目」や「経験値」ではなく、法令・大臣認定仕様に基づいて厳密に決定・管理される必要があるのです。
「厚み」は耐火時間を決める
耐火被覆は火災から建物を守るための防護材です。主に鉄骨構造体に施工をします。
耐火被覆の厚みが足りないと柱や梁が早く弱り、建物倒壊のリスクが高まります。
つまり、耐火被覆の厚みは「火災時に建物を守る時間=耐火時間」を確保するための重要な要素です。
住宅で火災が発生すると通常、室内の温度は火災発生5~10分程度で500℃に達します。さらにフラッシュオーバーと呼ばれる現象が起こると、瞬く間に室内温度は1000℃にまで達します。
そんな中、恐ろしいことに鉄骨は約600℃で急激に強度を失うのです。だからこそ火災の高温から守るための「耐火被覆工事」が重要になります。
耐火被覆の厚みは「火災時に建物を守る時間=耐火時間」を確保するための重要な要素です。
耐火被覆の厚みを決める考え方
耐火被覆の厚みは、次のフローで決まります。

つまり、「建物の条件+部材+材料」で決まるのです。
用途・耐火構造・階数から必要耐火性能を知る
建築基準法では、建物の用途・階数・耐火構造によって必要な耐火時間が決まります。
用途:オフィス、共同住宅、病院など
階数:最上階から数えて、階数が多いほど長時間耐火が必要
耐火構造:耐火建築物か準耐火建築物かで求められる耐火時間が変わる
例
超高層ビル(30階以上) → 3時間耐火
中高層ビル(10階前後) → 2時間耐火
低層建物(1〜2階建て) → 1時間耐火、または準耐火で可
つまり、同じ用途でも「1階建て」と「30階建て」では、必要な耐火被覆の厚みは変わります。
部材ごとの違い(柱・梁・床・壁)
耐火被覆の厚みは、部材の種類によっても変わります。
柱:建物を支える重要部材なので厚めの被覆が必要
梁:柱より薄くても良い場合が多い
壁・床:用途や部位によって厚みが変動
現場でよくある疑問 Q&A
Q1. 柱と梁の厚みは同じ?
→ 柱のほうが厚めです。梁は構造上の要求に応じて薄くなることがあります。
Q2. 壁や床も厚みを変える必要がある?
→ 用途や火災区画に応じて、部位ごとに適正厚みを確認します。
耐火被覆材の種類と厚みの目安
耐火被覆材には、大臣認定を取得した材料を使う必要があります。材料ごとに、必要な厚みが認定されています。
ロックウール吹付
柱:25〜50mm程度
梁:20〜40mm程度
ケイ酸カルシウム板
柱・梁:25〜40mm程度
マキベエ
柱・梁:20〜65mm程度
※実際の厚みは建物の階数・用途・部材種別により異なります。
耐火被覆厚みを決めるときのポイント
耐火被覆の厚みは、「法規(用途・耐火構造・階数)」+「部材種別」+「材料認定仕様」の3つを組み合わせて決定します。
法規で耐火時間を確認
部材ごとに厚みを調整
材料認定の仕様に沿って施工
弊社施工例・対応可能な工法
弊社では、以下の主要工法に対応可能です。
ロックウール吹付
ケイ酸カルシウム板貼り
巻き付け(マキベエ)
現場条件(工期・コスト・仕上がり)に応じて、最適な厚みと施工方法をご提案いたします。
お問い合わせ・相談窓口
「この建物の柱は何mm必要?」「階数が多くて厚みがわからない」など、耐火被覆の厚みに関するご相談は弊社まで。現場に合わせた最適な厚み・工法を専門スタッフが提案いたします。