鉄骨造を「準耐火建築物」にするには? 被覆仕様・耐火時間・用途別ポイントを整理
こんにちは。川崎市で耐火被覆事業を40年以上請け負う、株式会社NENGO 地球防衛隊です。
鉄骨造の建物を計画する際「準耐火建築物に該当するかどうか」は、設計・コスト・意匠に関わる重要な判断ポイントです。
本記事では鉄骨造を準耐火建築物として押さえておきたい「基本的な考え方」「法的条件」を整理します。
「耐火建築物との違いがわからない」「どこまで被覆が必要なのか知りたい」という方に向けて、基礎から実務の要点をわかりやすく解説します。
耐火建築物と準耐火建築物の違い
準耐火建築物とは「火災に一定時間耐えられる耐火性能を有する建築物」のこと。火災から人命や財産を守るために延焼を抑えられる構造を備えた建築物のことを指します。
耐火建築物では「火災終了後も自立し続ける構造」が求められる一方で準耐火建築物は火災に「一定時間耐える構造」が求められます。
鉄骨造のメリット・デメリット
鉄骨造の特徴は部材が軽量で現場での作業性が高いことから、施工スピードが速いことです。工期が短縮できる分、コストも抑えやすいというメリットがあります。
一方でデメリットは火災時に高温な状態では、強度が急激に低下するということです。
鉄骨造を「準耐火建築物」にするには?
鉄骨造を「準耐火建築物」として成立させるには主要構造部に耐火被覆を施し、一定時間倒壊しない性能を確保する必要があります。
必要な性能の基準は、建物の規模や用途によって異なります。
必要な性能基準は階数によって異なる
建築基準法施行令第107条では、建物の階数や用途に応じて以下のような性能基準(耐火時間)が定められています。

| 用途・規模 | 要求耐火時間(目安) |
| 鉄骨造(上から4以下の階) | 1時間耐火 |
| 鉄骨造(上から5〜14階) | 2時間耐火 |
| 鉄骨造(上から15以上の階) | 耐火建築物扱い(3時間耐火相当) |
※建築基準法施行令第107条より抜粋・要約
さらに特定の人が利用する倉庫や工場などの施設より、不特定多数の人が利用するオフィスビルといった施設はより高い耐火性能が求められます。
「階数」「用途」「主要構造部の構成」は、耐火性能を決める際に重要な要素であるため、設計段階でこれらを整理しておくことが重要です。
この場合、主要構造部が不燃材料でできているか、耐火被覆を施していることが条件となります。
鉄骨造を準耐火建築物にする方法
鉄骨造を準耐火建築物にするには、耐火被覆材で鉄骨部材を覆い、規定の耐火時間を確保する必要があります。
主な工法は以下の4つです。
| 工法 | 特徴・適用例 |
| 吹付け工法 | 吹付けロックウールなど。大面積施工に向く。倉庫・工場などで多用。 |
| 巻き付け工法 | 工場で作られたロックウールマット(マキベエ)を巻く。軽量で施工が早い。 |
| ボード貼り工法 | けい酸カルシウム板を貼る。仕上げと一体化しやすい。 |
| 耐火塗料工法 | 鉄骨を露出したまま意匠性を保てる。塗膜0.5〜4.5mmで1〜2時間耐火が可能な製品も。 |
それぞれの工法にはメリット・デメリットがあり、重要なのは、構造・意匠・コストのバランスを見ながら被覆工法を選定すること。
製品によって認定されている「塗膜厚さ」「被覆密度」「施工条件」が異なるため、早い段階でメーカー仕様を確認しましょう。
設計段階で確認すべき5つのチェックポイント
鉄骨造を準耐火建築物として成立させるためには、設計時に次の項目を押さえておく必要があります。
設計チェックリスト
- 構造区分(イ-1/イ-2/ロ-1/ロ-2)の確認
- 柱・梁・床・屋根・外壁など主要構造部ごとの耐火被覆の有無
- 延焼ライン内にある開口部の防火設備(防火戸・防火サッシ)の設置
- 使用する被覆材・塗料が国交省の認定または告示仕様に適合しているか
- 認定書類や施工計画書を確認申請時に添付できるか
これらを早期に整理しておくことで、確認申請時の手戻りや、コスト超過のリスクを回避できます。
また、設計と施工の間で仕様認識にズレが生じやすい部分でもあるため、被覆厚さ・仕上げ方法・意匠要望を明文化して共有しておくことが望ましいでしょう。
【まとめ】
鉄骨造の建物を準耐火建築物として成立させるためには、法令の理解 × 被覆仕様の選定 × 設計段階での情報整理が不可欠です。
耐火被覆は「義務だからやる」ものではなく、建物の安全性・資産価値・意匠性を左右する重要な設計要素です。
次の記事では、より具体的に「準耐火建築物(ロ-2)鉄骨造」の法令要件と、告示・認定仕様の読み解き方を紹介しています。あわせてご覧ください。