【目黒区W邸】
このマンションは、管理規約で植栽の栽培を奨励しています。
同時に、洗濯物をベランダで干す事を禁じていることからも、街からの見え方・街との関係性を意識し、
街並みを形成する上での個体の役割をとても強く認識している文化的な建物です。
今回リノベーションをするにあたってまず考えた事は、外とのつながりを大切にすること。
この部屋に一番初めに立ち入った時、ここを吹き抜ける風の気持ちよさに感動しました。
この物件の持つ魅力を最大限活かして行くことは必須条件であると強く感じ、
東西の大開口を風が駆け抜ける道の確保を大切にしています。
【緩やかに繋がる空間】
もう一つ大切にしたこと。
それは、家族の子育てに対する考え方を空間に体現するということ。
これから思春期に入っていく子供を3人抱え、家族の在り方を模索した時に、
「関係性と距離感」というキーワードが今回のリノベーションの大きな要素の一つになりました。
幼少期~発育期の小学校過程を経るまでは、家族という塊を行動の最小単位と考えて、
キッチンを中心とした母親の目の届く範囲内で行動が行われる様に誘導しています。
リビング空間は緩やかに仕切ることで、それぞれのスペースで過ごす際の気配を、
それぞれが感じることを出来るようにしました。
また、帰宅時は必ずパブリックスペースを通過することで、
必然的にコミュニケーションが生まれる構成にしています。
そして、もう一つ強く意識したこと。
それは、生活の中で四季を感じる豊かな暮らしを送れるようにすること。
日本は四季を味わえる、素晴らしい自然環境を有した国です。
その四季を、室内に居ながらも感じることが出来るよう植栽計画を実行。
東西に広がる2つのバルコニーのプランターを利用して、
春夏秋冬を視覚・嗅覚・触覚など五感で楽しめる空間創りをしています。
シマトネリコ、ラベンダー、オリーブなど季節毎の植物は、日々の暮らしを豊かに彩り、
室内の大部分で使用している木材との親和性を図っています。
東西それぞれにある、大開口させることが可能な窓。
ここを解放する際、NAKEDの名の通りおおっぴろげに開け放つことこそが
この空間を最大限気持ちよく使うことだと感じ、
網戸で遮るのではなく、虫除け効果も期待できるユーカリやジャスミンなどを植えることで、
防虫効果を確保しております。
建築的な美しさはもちろんですが、
その土地の気候や風土や文化や、そこに住まう人の世界観について考察した家です。