ライブラリースペースでコミュニケーションを図る家

内装工事
不動産仲介
断熱工事
PORTER’S PAINTS
所在地

東京都品川区

用  途

専用住宅(マンション区分所有)

築  年

1980年

竣  工

2016年

規  模

85㎡

構  造

SRC造

プロデュース

NENGO

設  計

スタジオA建築設計事務所(http://saa-jp.com/

施  工

NENGO

仕  様

床)キッチン:フローリング・カバザクラ/ボード
リビング:フローリング・カバザクラ/ボード
個室:塩ビタイル/TOLI
トイレ・洗面:塩ビシート/TOLI
浴室:タイル/LIXIL
壁)キッチン:AEP 日塗工№95、一部タイル貼り/平田タイル
リビング:AEP 日塗工№95
トイレ:AEP 日塗工№95
洗面:AEP 日塗工№95、一部モザイクタイル貼り/平田タイル
浴室:タイル/LIXIL、一部FRP防水の上ウレタン塗装
天井)キッチン:既存躯体+モルタル補修
リビング:AEP 日塗工№95、一部既存躯体+モルタル補修
個室:既存躯体+モルタル補修
トイレ:AEP 日塗工№95
洗面:AEP 日塗工№95
浴室:バスパネル/フクビ
キッチン)ベルフラワー/ナスラック
その他)ベリティス/panasonic
一部 アンティークガラス框戸

写  真

伊藤 徹也

【品川区 A邸】

バルコニーに出ると遮るものがほとんど何もなく、遥か彼方まで空が広がっています。

都心を一望出来る、という表現は陳腐で好きではないですが、
じっくり時間を掛けて眺めていたくなる様な、居心地の良さを感じます。

少し目線を下に移すと、そこには大井町線がコトコトと、あたかも路面電車の様に走っている姿があり、
その規則的な音からは、
とても健康的な印象を受けました。

中延という街は、大井町線と浅草線が交差しており、
いずれの路線も大きなターミナル駅と直結しておりませんが、
大井町や品川方面に向かう方にとっては、実は利便性の高い街でもあります。

この部屋のバルコニーという存在は、
本来は公園ですべき事を自邸の窓の向こうで出来るという、とても有機的で楽しい空間です。

子供の三輪車の練習や、珈琲をすすりながらの読書。
夏の暑い日には、移動式のパラソルの下でモヒートを嗜む。
晴れた日の朝は絶好のヨガ日和。

家の中の要素がどんどんバルコニーに侵食して、室内と外の空間がどんどんあいまいな境界線になっていくことが、
もしかしたら一番気持ちの良い状態かもしれません。

そうやってバルコニー空間を育てていくことが、ここに住む楽しみとなるはずです。

この物件は空間の中心に「ライブラリー・スペース」(図書室)があります。

お施主様の職業柄、数多くの書籍や雑誌をお持ちでしたが、
それらを書斎空間の中に取り込むのではなく、子供の成長と共にお父さんの仕事を少しずつ垣間見れる様に、
家族のコモンスペースとしてのライブラリー・スペースを設け、
敢えて
仕事の資料と子供向けの絵本を同居させました。

このライブラリー・スペースの外のレイヤーに、お父さん用の書斎があります。
お父さん用の書斎は、メインベッドルームと子供部屋の間にある、街中でいう路地の様な溜まり空間です。

基本的にはお父さんの空間ですが、子供が大きくなるにつれ、
ライブラリー・スペースからお父さんの仕事用の雑誌を引っ張り出してきて、
隣に座って眺めていることをも許容できる長さを設けています。

この家には、家族共用の空間がもう一箇所あります。クローゼットルームです。

それぞれの個室に十分な収納を設けるのではなく、家族全員が同じ空間に収納することで、
空間を効率的に使用することはもちろん、家族のコミュニケーションを図る空間にもなり得ます。

それぞれの空間を緩いレイヤーで繋げることで生まれる家族のコミュニケーションを、形にしました。