歯医者に行くように建物を調査を
よく建物のメンテナンスに関するお悩みで
・修繕のタイミングがよく分からない
・修繕のコストの負担が大きい
・どこに問題があるのか場所の特定が難しい
・入居者様や利用者様へ不便をかけたくない
・将来の資産価値を維持できるか不安
などビルオーナー様から建物のメンテナンス・修繕に関してのお悩みを伺うことも多いです。
そのため私たちは「歯医者へ定期健診に行くように建物を定期的に調査しましょう」とお伝えしています。
歯が痛くなってから歯医者に行くと、虫歯がいくつもあって何度も通う必要が出てきたり、酷い場合は歯を抜く必要があったりしますよね。しかし定期的に歯医者に通っていたら、各回にかかる時間も費用も少しで済み、虫歯を予防できます。
建物も同じです。建物の健康状態を把握していたら、いつ・どこを・どの程度メンテナンスしてあげたらよいのか判断ができます。そうすることで過度に心配をすることもなく、そして急遽メンテナンスをする必要もありません。
大切なのはまず「どんな選択肢」があるのかを知っておくことです。
ドローンによる建物調査
前回、建物の健康診断をする1つの方法「打診調査」についてコラムを書きました。
今回はドローンによる建物調査ついて書いていきます。
■メリット
・効率的な調査で費用を削減可能
従来は“足場”を建て建物調査を行っていたため、人も時間も必要で、必然的にコストも掛かっていました。そして「せっかく足場を建てたなら修繕をしましょう」となるパターンが散見されてきました。
ドローンを使った建物調査であれば、高所や手が届きにくい場所でも迅速かつ安全に調査ができます。足場や高所作業車を必要としないため、作業時間短縮され、調査自体もよりシンプルになるため、費用も削減可能です。
ドローンによる撮影風景。撮影時間は建物の規模にもよるが、1時間~3時間程度
・赤外線撮影による精密な診断
ドローンは性能が日々進化していますが、現在は200倍までズームが可能な4Kのデジタルカメラで、加えて赤外線カメラを利用すると表面から5cm奥の状態まで確認できる性能が備わっています。それによって表面の温度の違いが分かり、そこから劣化を読み取ることができるようになります。
例えば、壁面の一部に青い部分がある場合、周りと比べて温度が低くなっていることが分かります。その理由は漏水が原因で冷たくなっているのかもしれないという予測がつきます。
・修繕計画の効率化
データを調査を基に修繕箇所を特定することで、無駄のない修繕計画が立てられます。これにより部分修繕の実施が容易になり、建物の長寿命化が促進されます。
■デメリット
・気候に左右される
ドローンは強風や雨天などの悪天候の際は調査が延期されることがあります。また赤外線カメラは表面の温度の違いにより、どの部分が劣化していそうか予測するため、真冬や真夏など表面の温度の差が出にくい場合は、撮影が難しい場合もあります。
・狭い場所は撮影できない
ロープアクセスによる建物調査では、建物と建物の間が50㎝あれば調査が可能ですが、ドローンは2.3mの距離が必要になります。また木によって建物が隠れている場所は撮影ができない場合があります。
・あくまで予測である
ドローンによる建物調査は、あくまで周囲との温度差により漏水やタイルの浮きを予想できるもので、原因を特定することは難しいです。ただ問題がありそうな場所を効率よく把握し、ロープアクセスなどで原因を追及することが可能です。
まとめ
いかがでしょうか。
私たちはドローンとロープアクセスの組み合わせで建物調査を行い、必要に応じてメンテナンスを行うことが多いですが、足場を立てる場合のメリットももちろんあります。
「一度に全て修繕を行い安心したい」「計画を立て、必要に応じてメンテナンスを行いたい」など、ご状況も様々だと思います。
冒頭にも書かせていただいた通り、正しく建物の健康状態を把握し、状況に応じた「選択肢」があることを知っておくことが大切です。
ビルは50年経過すると立て壊す話が出てくることも多いですが、鉄筋コンクリート造の耐用年数は120年と言われています。丁寧メンテナンスをすることで、人の人生よりも長く、街や人の歴史を見届ける建物になっていきます。
建物のメンテナンスでご心配や不安がある方や大規模修繕検討している方はお気軽にご相談ください。
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「地球防衛隊」
NENGOで最も歴史のある部署「地球防衛隊」。
火災から建物を守る耐火被覆工事、室内の温熱環境を快適に保つ断熱工事を中心に、新築・リノベーションを問わず、施工を承っております。また最近では1室からの温熱コンサルティングや1棟の大規模修繕工事などを行い、人・建物・ひいては地球環境を守るお手伝いをしています。