【コラム】断熱リノベの基礎知識|1室からできる断熱改修
2026.03.30

【コラム】断熱リノベの基礎知識|1室からできる断熱改修

PROJECT

「性能を担保したいけど、現場条件が厳しいかも…」
断熱工事に悩んだことはありませんか?施工方法も多くの種類があります。

断熱改修に直面するデベロッパーさんには「必要な仕様を満たしたい。でも条件が限られている。」といった悩みがあることも。そんな場面でも、現場条件を踏まえた上で費用を抑えつつ施工をする方法があります。今回はマンション1室の改修工事を例に、断熱改修の流れや気を付けておきたいポイントについて紹介します。


断熱は外からは分からない。解体前に相談が吉

断熱改修と一言で言っても、その初期状態は様々です。

・すでに断熱材が施されているが、一部だけ施工されていない状態
・断熱材が剥がれていたり、破損していたりする状態
・そもそも断熱材が施されていない状態
・解体工事中に断熱材が破損している状態


解体後の写真 ユニットバスの裏に断熱欠損がある状態

断熱材は壁の内側に施されているため、これらの状態は解体後に判明することが多いです。つまり「解体してみないと分からない」のです。解体後に慌てないためにも、断熱の仕様が定められている場合は改修工事の依頼の有無に関わらず、解体前に断熱業者に相談しておくことがポイントです。

✓POINT1. 断熱改修するなら解体前に相談する

 

現場条件によって適する工種は違う

断熱業者に改修を相談すると、まず図面の提出を求められます。図面を基におおよその改修範囲を想定し、材料を準備するためです。
同時に現場とその周辺状況の条件をヒアリング。工事で使用する機械・材料を搬入する経路や、トラックの留置可能な場所を確認します。断熱工事と一口に言っても様々な工種があるため、現場にあった適切な工事ができるよう検討します。

■現場に合わせて工種を選びます(例)
 
1. 200V発泡ウレタン吹付
材料・機械・電源を積載した2tトラックを前面道路など現場付近に留置し、トラックからホースを伸ばして現場に施工する方法です。時間あたりの施工量が多く効率が良いため、ビルやマンション1棟の新築工事では主流になっています。

メリット:費用を抑えられ、施工期間も短い
注意点:2トントラックを置く場所が必要。トラックから伸びるホースが他入居者の迷惑になる場合も

 
1枚目:吹付施工の様子 2枚目:2トントラック
 
2. 100V発泡ウレタン吹付
機械・材料・電源を現場に直接持ち込み、現場の中だけで施工する方法です。電源はエンジンコンプレッサーのため、ガソリンの排気ガスを逃がせるようベランダがあるか十分な広さであるマンション1室の改修現場で採用されています。

メリット:他住戸にお住まいでも施工しやすい
注意点:機械・材料・電源を部屋に搬入する経路の確保が必要。機械が重いので段差注意&エレベーター必須

 
1枚目:100V発泡ウレタン吹付の機械 2枚目:搬入している様子
 
3. スタイロスプレーライト
100V発泡ウレタン吹付と同じく現場に機械を搬入し、エンジンではなく電気コンプレッサーを使う方法です。電源から排気ガスが出ないため、ベランダがない・狭い現場でも対応できます。100Vよりも機械が軽いため、エレベーター使用が難しいマンションの1室でも施工可能です。

メリット:排気ガスが出ない。エレベーターが狭くても搬入可
注意点:材料費・施工費のコストがやや高く、施工量が少ない

 
1枚目:材料(左手前)と電気コンプレッサー(右奥)2枚目:スタイロスプレーライトの施工面

図面からおおよその施工面積を算出し、施工方法が決まるとお見積りをお出しします。現場の条件が厳しくても、対応可能な施工方法はあります。しかし、比例して費用が増加する傾向にあることに注意が必要です。現場やその周辺の条件を考慮しながら、最適な工種を考えます。

✓POINT2. 現場条件とコストを踏まえ、自分の現場に合う施工方法を選ぶ

 

現調ではじめて分かる施工詳細

先述のとおり、断熱改修は「解体してみないと分からない」ことが多いものです。現調は解体後に断熱箇所の状況を確認し、工事の詳細を確定するために行います。
 
■現場調査での確認事項
 
1. 実際に施工が必要な範囲を確認する
解体すると、断熱されている箇所とされていない箇所を把握できます。
例えば、本来断熱材が必要な箇所に施されていないパターン。その上から施工する壁や設備の納まり具合の関係で、断熱に必要な空間が確保できなかった部分に欠損が見られます。

また、既存の断熱材が想定より薄いパターンもあります。その場合、上から断熱材を追加して性能を確保することもあります。

✓POINT3. 解体後に断熱材の状況を見て、施工範囲を確定する
 
2. 搬入経路で気を付ける箇所を確認する
現調では機械や材料を運ぶ経路もチェックします。
例えば、100V発泡ウレタン吹付を施工するパターン。機械が重いため、2階以上への搬入にはエレベーターが必須です。エレベーターが十分な大きさか、エレベーターまでの経路に段差がないかなど、搬入時を想定してチェックします。
共用部を経由して搬入する場合、建物に傷がつかないよう細心の注意を払う必要があります。管理人の方や近隣住民の方への配慮のためにも、搬入経路の状態やポイントを確認しています。

✓POINT4. 搬入経路は機材との相性・入居者への配慮を確認する
 
■工事~施工報告→完了
工事に必要な準備を終えたのち、調整した日程で施工に入ります。
施工中は工種によって音や振動が発生します。他入居者とのトラブル防止のため、現場監理者は事前に周知が必要となります。他入居者への配慮のために、搬入出や養生など施工前後にも注意しておきましょう。
施工終了後、施工管理者から現場監督への施工報告をもって完了となります。

 

断熱改修をするなら金額だけで比較しない

断熱工事を選ぶポイントは「金額だけで比較しない」ことです。
その理由は2つあります。
 
1. 価格に工賃が含まれていない場合がある
断熱材には複数の種類があります。材によって価格が異なり、安さが長所の断熱材も存在します。しかし、断熱工事には材料費だけでなく「工賃」もかかります。安い断熱材だと思っても、工賃を含めると想定より高くなってしまうことも。反対に、材料費がやや高くても工賃が安く結果的に価格が抑えられるケースもあります。
価格は「材料費+工賃」をセットで比較することが大切です。

 
断熱工事は「材料費+工賃」で比較するのがポイント
 
2. 性能が十分でない場合がある
断熱材の種類や工事のクオリティによっては、断熱性能を十分に発揮しきれない可能性があります。特に壁と断熱材の間に隙間ができると内部結露の原因となり、性能が低下するだけでなく老朽化を早める原因になります。

改修工事の場合、躯体の老朽化によって凹凸ができている箇所は隙間になり得ます。弊社ではそのような場合にウレタン吹付工事を提案しています。隙間を埋めながら断熱ができ、結露を防止して長持ちする施工方法の1つなのです。

✓POINT5. 断熱工事は材料費と工賃のセット価格で、性能でも比較する

 

まとめ

リフォームやリノベーションの断熱工事は、現場の条件が限られています。制約の中で確保したい性能を満たさなければならないため、一筋縄ではいかないものです。
解体前に相談することで最適な選択肢を選ぶことが可能になります。

✓POINT1. 断熱改修するなら解体前に相談する
✓POINT2. 現場条件とコストを踏まえ、自分の現場に合う施工方法を選ぶ
✓POINT3. 解体後に断熱材の状況を見て、施工範囲を確定する
✓POINT4. 搬入経路は機材との相性・入居者への配慮を確認する
✓POINT5. 断熱工事は材料費と工賃のセット価格で、性能でも比較する

株式会社NENGOの耐火被覆・断熱・修繕事業部「地球防衛隊」では、断熱改修のご相談を承っております。現場の状況に合った材料・工法をご提案。メリットだけでなくデメリットも正直に伝えます。

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