修繕費を左右するのは工事内容ではなく「足場」かもしれない
2026.05.13

修繕費を左右するのは工事内容ではなく「足場」かもしれない

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賃貸物件の修繕工事は、数百万円から数千万、場合によっては数億円にまでのぼります。「専門的でよく分からないから」と管理会社に任せているオーナーさまも少なくありません。

しかし現場を見ていると、修繕内容の判断に疑問を感じる場面があります。例えば、こんな状況です。

・工事範囲が必要以上に広がる
・本来必要な修繕が先送りされる

本来は建物の劣化状況に応じて必要な工事を見極めるべきですが、実際には別の基準が優先されてしまうケースも。その背景には、修繕計画に共通する“ある前提”が存在しています。


なぜ修繕工事には多額の費用がかかるのか?

ヒントは「足場」にあります。
大規模修繕工事は、基本的に「調査(検査)→修繕」という流れで進みます。外壁・屋上・防水層などの状態を確認し、必要な箇所を特定したうえで工事に入るのが本来の姿です。

しかし現場では、次のような判断が起こりがちです。

・「せっかく足場を組んだのだから」と、まだ使える部材まで交換してしまう
・「足場を組むほどではない」と、本来修繕すべき箇所を先送りにしてしまう

足場を組むには、まとまった費用がかかります。(規模にもよりますが数百万円単位になることも)そのため、足場の有無が工事内容を決めてしまうことがあるのです。

本来は劣化状況で決めるべき修繕内容の判断が歪み、このズレが結果として「無駄なコストの発生」「必要な修繕の遅れ」「建物寿命の短縮」につながることがあります。

 

足場以外の選択肢を知り、本当に必要な修繕だけを行う

では、どうすればよいのか?答えはシンプルで「足場以外の選択肢を知る」ことです。

足場を前提にするのではなく、「そもそも今、足場は必要なのか?」「別の方法で状態確認はできないのか?」という視点を持つことが重要です。ここで近年、現場で活用が進んでいるのが足場を使わない調査・修繕手法です。

 

具体例|非足場の調査・修繕手法

■ドローン調査
カメラと赤外線センサーがついたドローンで外壁や屋上を撮影し、劣化状況を把握する方法です。


ドローン調査の様子

特徴

・足場不要で調査可能
・短時間で広範囲を確認できる
・赤外線調査で不具合を見つけやすい

向いているケース

・初期診断・全体把握
・緊急性の有無の判断

■ロープアクセス
作業員がロープで建物外壁にアクセスし、調査・部分補修を行う方法です。

 
ロープアクセスでのシール工事・打診

特徴

・足場を組まずにピンポイント作業が可能
・コストを抑えやすい
・必要な箇所だけ対応できる

向いているケース

・局所的な劣化の把握
・応急処置・部分補修


【足場を使わない修繕工事の手順】
1.ドローンで全体を把握
2.必要箇所のみロープで詳細確認・補修
3.本当に必要なタイミングで足場工事

これらを組み合わせることで、段階的な修繕判断が可能になります。


 

足場は適切に使用できるとベスト

ここで誤解してはいけないのは、足場そのものが悪いわけではないということです。

例えば修繕箇所が広範囲に及ぶ場合や、外壁改修・塗装・防水など複数工事を同時に行う場合。こうしたケースでは、足場を組んだ方が結果的にコストパフォーマンスが高くなることもあります。

実際に1棟まるごとリノベーションを進めている「プロジェクトサニー」でも、修繕工事と耐震補強工事、内装工事を同時に行うため足場を組んで工事を進めています。このように複数工事をまとめて行う場合は、足場を組む合理性が高くなります。


現在工事中の「プロジェクトサニー」

■本当に注意すべきこと
問題は「足場を使うかどうか」ではなく、足場の都合で修繕タイミングが決まってしまうことです。

・本来まだ不要なのに前倒しで工事する
・本来必要なのに後回しにする

このズレこそがオーナーさまにとってのリスクです。


まとめ

長期修繕工事で重要なのは「任せること」ではなく「理解して判断すること」です。まずは次の2点から始めることをおすすめします。

1. 工事内容を「自分の言葉で説明できる」ようにする
提案された内容を、そのまま承認するのではなく「なぜ今それが必要なのか」を確認しましょう。

2. 2〜3年ごとの点検を習慣化する
計画と実際の劣化状況のズレを把握することで、無駄な工事・遅すぎる工事を防ぐことができます。

修繕は「単なる『目先の負担』『維持費』『出費』」ではなく、資産価値を守るための投資です。選択肢を知り適切なタイミングで判断することが、長期的に見て合理的な賃貸経営につながります。大規模修繕工事だけではなく、中規模・部分的な工事を組み合わせながら価値を維持しましょう。


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