お施主様ご夫婦が「心地いい」と感じる原風景の話から、本リノベーションの プランニングがスタートしました。
旦那様は、身も心も投げ出して、畳に寝っ転がりながら寛ぎたい。
奥様は、手や足から伝わる、質感をとても大切にしたい。
こんなキーワードがはじめにありました。
最も寛げるスペースを、建具でビシッと仕切るのではなく、LDKと連続性を保ちながら存在する畳のスペースとして計画。
家族のパブリック・プライベートを「回遊性」をもったゾーニングにすることで、
部屋毎に暮らしが区切られるのはなく、 連続性を持って折り重なり、
お互いの気配を何となく感じながら、見え隠れする関係性をつくっています。
風と光も、この空間に沿って回遊していく構成になっており、どこにいても気持ちが良いです。
暮らしを包み込む仕上げ材としては、「質感」というキーワードを基にそれぞれの空間毎に選定しています。
自然光・通風の入り口になるLDKは、硬質のフローリングを選定し、
光の反射やそれぞれのスペースへの通り抜ける素材として計画しました。
メインベッドルームは、北側である為に調湿性・温度変化の少ない羊毛のカーペットをセレクトしています。
シーンによって質感を変えることで、朝ベッドから出た一歩目を優しく包み込む感覚、
リビングで一息つく時の足裏の感覚、畳でくつろぐ時の感覚など、無意識に近い感覚の変化を感じることが出来ます。
回遊性が生み出すシームレスな関係を考えることで、与えられた環境、
これから変化する生活を受入れる大きな器としての住まいになっています。