「仕立てる賃貸」は、自分のライフスタイルを反映させた「愛着のわく空間」が手に入る、新しい賃貸の仕組みです。
最初から内装の仕上がった部屋に暮らすのではなく、
入居者様とオーナー様が一緒になって間取りから考えリノベーションすることで、賃貸物件でありながら自身で設計した部屋に住むことが可能となります。
そしてリノベーション費用はオーナー様が負担してくれるため、入居者様は費用を必要としません。
また建築やデザインを生業にされている方であれば、お客様に訪れてもらうことでご自身のショールームとすることもできます。
自分らしく暮らせる「愛着のわく空間」を手に入れ、豊かな暮らしをつくることができるのが仕立てる賃貸です。
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元々、オーナー住戸とされていた3階のワンフロア―が舞台でした。
オーナー様はいくつか賃貸住宅を持っていましたがその全てが単身者用で、分譲とターゲットが競合するファミリー向け物件の運営に不安をお持ちでした。
将来的にも競争力を失わない物件を企画してもらいたい。というものでした。
電気系統の問題で3部屋の構成になりそうでしたので、必然的に全部屋40㎡以上となることは決定しており、一番大きい部屋では、60㎡後半を誇ります。
近隣の築浅デザイナーズ住宅では空室が目立っていたために、単にカッコいい物件を創っても短命であることが想定できました。
そこで、入居者が空間構成に参加できる「仕立てる賃貸」が最適であると判断しました。
オーナー様側の決定権者が海外在住という点や工程管理上の問題などから、フルオーダーにて創り込むことは難しいと判断し、3部屋それぞれに対して「STANDARD」「CAFE」「SOHO」「HOBY」など、ライフスタイル提案型の4パターンの空間を提案しました。
もちろんその通りにしなくても良いのですが、空間のポテンシャルを最大限活かせるであろうプランをそれぞれ4つ提案し、そこから自分らしさを更に付加出来るようにしました。
内見の際はスケルトン(解体後の何もない状態)のため、模型を使ってイメージを膨らませてもらいました。
全体予算は決定しており、それ以上のグレードアップを求めた方にはその他の部分とのトレードオフをするか、もしくは実費でも行いたいかどうかを検討していただきました。
3部屋とも自分の費用を追加してでも行いたいという結果になり、それぞれの住まいへの想いを強く感じるお仕立て内容となりました。
Aはスイッチプレートや素材の使い方のような細部にこだわり、Bは住まい手のご職業(アパレル)からデザイン性を保ちつつ収納という機能面を手厚くし、Cはクラフト感を少し抑えキッチンの天板を乗せるブロックを塗装、フローリング材を変更されました。Aについては、全体的な世界観は統一しながらも、更により良くするリノベーションはOKとしたために、引っ越し後にも壁一面にチョークボードペイント(黒板塗料)を塗装されています。
仕立てる前からお仕立て後のイメージはありましたが、住まい手の想いとこだわりが付加され、それぞれ全く異なる表情を見せてくれるお部屋となりました。