横浜市金沢区。都心部からほど近く、オアシスのようなに恵まれた緑を生かしてリノベーション。NENGOは施工をお手伝いさせていただきました。
過去に何度も増改築を重ねてきた、築100年を超え、何世代にも渡り受け継がれてきた木造住宅。
住宅の背後には森があり夏場でも涼しい風が森から吹き下り、住居や庭へと風が流れる敷地となっています。既存住宅の骨格を残しながら一部増築をし、今のご家族に合った形に作り変えています。
既存の庭は、大きな梅の木や桜の木、紅葉などがありましたが、それら緑に対して住宅が閉じる構成になっていました。今回は庭を「見せる庭」として整え、庭に面して大きな開口部を取り、暮らしの中で自然や季節との密接な関係性が生まれるようにデザインをされています。
庭は元々ある老木に対して、若木も新たに植えています。数年後には新しく掛けた屋根に、木々たちの葉影が延びていきます。
大きな開口部はどの窓が開くのか一見分からないほどシンプルに設え、雑味を丁寧に取り除きました。カーテンレールも隙間なく、きれいに収まります。
LDKの天井はそれぞれ高さを変えて、空間をゾーニング。リビングは屋根と一体化した高い天井で解放感を感じ、ダイニングは背中に壁があることで包まれるような安心感が得られます。
自然界に似た解放感と籠り感が連続する空間にし、ご家族がLDKで過ごしながらも、その時々に合わせた“ほどよい距離感”を生みます。
来客用の玄関だった場所は緑を間近に感じることができる明るいキッチンとして。さらにその横にはピアノの演奏用の防音室を配置しています。洗面室、家事室、倉庫、水屋の機能は既存から大きく動かさず一か所にまとめつつ、動線が流れる設計がされています。
食卓を囲むとき。窓際で物思いにふけるとき、柔らかな光が差し込み陰影を落とし、自然との調和を感じるお住まいです。世代を超えて受け継がれてきたことで、お住まいは街の歴史や自然の移ろいを記憶し、ご家族はもちろん街やそこに住まう人を暮らしの豊かさと安心感で包み込みます。