■コンセプト
築40年を超えるRCマンション1室のフルリノベーションです。
改修前は3LDKの間取りでした。当時の社会的背景から小規模核家族を対象としたこういった3LDKの住まいは大量生産されていましたが、現在の多様な家族の在り方、住まい方には合わなくなってきています。nLDKに代表される画一的な家族の形式に合わせた間取りの作り方では住まい手にとって本当に望む住空間というのは獲得しえないのではないでしょうか。
HOUSE SH はそういったところからクライアントと共に住まいの在り方についてディスカッションを重ね、既存間取りやマンションのあたりまえにある形を疑い、新たな住まいの在り方を構築していきました。個室の確保を優先することで生まれてしまう薄暗い廊下や風の通らない居室ではなく、外周に沿って行き止まりのない回遊性の居場所をつくることで光や風、視線が抜ける環境を作りました。空間はひとつながりですが物理的な距離、光の明暗、床の素材などによって緩やかに居場所が変化していきます。
クライアントの多種多様な趣味や活動を支え、より生活が楽しくなる、活動の幅を広げるような住まいを目指しました。
(設計:平野勇気さまより)
