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メゾネットの家

所 在 地

東京都世田谷区

用  途

共同住居

築  年

2007年3月

竣  工

2025年5月

規  模

141.4㎡

構  造

RC造

設  計

Small Design Studio(https://www.small-design-studio.com

施  工

NENGO(https://nengo.jp/komuten/

PORTER'S PAINTS

tex:STONE PAINT COARSE/col:WASHED LINEN(1F天井)
tex:STONE PAINT FINE/col:WASHED LINEN(1F壁)

写  真

AKIRA NAKAMURA

建築家さまより

2007年に建築されたRC4階建ての住宅。アメリカを拠点とするご家族の日本での拠点として、またご両親やご兄弟の居場所として使われてきました。今回は、その住宅の外部修繕工事と、3・4階のメゾネット部分の改修工事です。

これからもこの家を末永く使っていくために、建物としてなすべきことは何か。
設計する立場からすれば「当たり前」と思われることかもしれませんが、その“当たり前”を一つひとつ丁寧に、純粋に遂行していくこと。そして、この場所で暮らす人たちに合った生活のかたちや、心穏やかに過ごせる場とはどのようなものか―そんなことを改めて考えています。

ー外部
定期的に塗装や防水といった外部のメンテナンスが実施されていたこともあり、修繕前の建物は一見とても綺麗に見えていました。しかし実際には、異常気象による豪雨や猛暑、地震の影響を、時間の経過とともに確実に受けていたというのが実情でした。
ヘアクラックから侵入した水が鉄筋の錆を呼び、多数の爆裂が発生。室内側の躯体にじんわりと広がる水染みが確認できたのも、内外を同時に施工していたからこそ気づけたものでした。
この水染みに対しては、一部の大工工事を後回しにしたり、3度にわたる散水試験を実施した上で工事の段取りを組み直してくれ、大幅な工期遅れもなく進められたというのは、監督が柔軟に工程を調整し、現場を収めてくれたという裁量に尽きます。
その他、防水層からの漏水はなかったものの、当時の鋼製排水口の位置によって降雨後に水たまりができてしまうという問題もあり、その改善によって、水が溜まりにくい状態となったことも、建物の寿命を考えるうえで重要な要素となりました。

ー内部
大きな間取りの変更は行わず、現在のご家族がより快適に過ごせるように、まずは断熱改修や音の反響といった、機能的な要素の改善から着手しました。竣工当時にオーダーで設置されたキッチンの扉は、鏡面塗装仕上げが施されていましたが、長年の紫外線によって大きく黄変していました。そこで扉の交換を行い、一部収納も奥行きを増やすなどの改造を施しました。
「使えるものはできるだけゴミにせず、活かしていきたい」——
そんなクライアントの想いを丁寧にくみ取り、既製品の加工という難しい依頼にも快く応えてくれた工務店の力量が、とても良い形でマッチし、再利用と再生が実現しました。
壁や床の仕上げは、断熱材の施工に伴って新しくなりましたが、新しい素材に求められる快適性や質感を意識しながら、落ち着いて過ごせる空間を念頭に入れ進めていきました。

ー最後に
文章にすると少し長く、まとまりのないこの一連の話を、真摯に受け止めてくれた監督。
ひとつひとつのやりとりに、時には返答に時間がかかってしまった内容にも、辛抱強く向き合い、スケジュールに忠実に、着実に進めてくれ、そして、それを実際の形にしていく職人さんたちの力もまた、この工事において非常に大きな要素だったと、あらためて感じています。